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吉野 作造:憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
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吉野 作造
2024-03-18T00:00:00+09:00
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2024-03-18公開 入力:石井彰文, 校正:染川隆俊 (75k/226k) “去年十二月一日より東京に開かれたる全国中学校長会議において、高田新文相が特に訓示を与えて立憲思想養成の急務を説きたる事と、水戸中学校長菊池謙二郎氏が起って大隈内閣の居据りと立憲思想との関係の説明を求めて文相に肉薄した事とは、著しく世間の耳目を惹いた。訓示の一節に曰く。 (上略)中等教育ニハ種々ノ方針アルベキモ、余ノ見解ヲ以テスレバ、立憲思想ノ養成ヲ刻下ノ急務ナリト信ズ。我ガ国ニ於テハ、憲法施行以来日...”
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山本 周五郎:三十二刻
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山本 周五郎
2024-03-14T00:00:00+09:00
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2024-03-14公開 入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:noriko saito (17k/47k) “一 「到頭はじめました」 「そうか」 「長門どのでも疋田でも互いに一族を集めております。大手の木戸を打ちましたし、両家の付近では町人共が立退きを始めています」 「ではわしはすぐ登城しよう」 「いやただ今お触令がございまして、何分の知らせをするまで家から出ぬようにとのことです。騒動が拡がってはならぬという思召でしょう。しかし用意だけはいたしておきます」 父と兄とが口早に話している隣の部屋から、娘の宇女...”
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オメル・セイフェッティン :オメル・セイフェッティン短編選集
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オメル・セイフェッティン
2024-03-11T00:00:00+09:00
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2024-03-11公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:鈴木 郁子 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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坂口 安吾:「鷹」
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坂口 安吾
2024-03-07T00:00:00+09:00
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2024-03-07公開 入力:持田和踏, 校正:ばっちゃん (1k/3k) “石川淳さんのように正しく古典を解するとともに正しく近代に身を置く人は稀にしかない。彼の文学の浪曼性は虚妄の秩序をしりぞけること、いきおい悪の華を開花せしめる如くに展開するが、その思考の基は古代から現代に至るまで一貫して揺ぎのない正論の選択と発見の上に成り立っている。一朝一夕に思いついたところは微塵といえどもないのである。彼の文学は怱卒な現代に於て味読に価する最も意味の深遠な作品と言えよう。 底本:...”
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菊池 寛:風雲児、坂本竜馬
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菊池 寛
2024-03-06T00:00:00+09:00
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2024-03-06公開 入力:浦山敦子, 校正:友理 (4k/8k) “現存する坂本龍馬の写真を見ると、蓬頭垢衣、如何にも風采あがらぬ浪士と云つた格好である。浜本浩に少し苦味を加へたやうな顔だ。 その近親の談話によると、龍馬が常用してゐた黒羽二重の紋服は、いつも膝の下一寸ばかりのところが、ピカ/\油染みて光つてゐたと云ふ。 鼻をこすつて、何かと云ふと得意がる癖があつたと云ふ。一日五度も六度もこれをやつた。 酒は大酒とは云へず寧ろ喰意地の方がきたなかつた。クチヤ/\と口に...”
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妹尾 アキ夫:けすとえくえろ 探偵小説は芸術か
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妹尾 アキ夫
2024-03-04T00:00:00+09:00
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2024-03-04公開 入力:sogo, 校正:持田和踏 (3k/7k) “甲賀三郎氏の探偵小説についての論文は、同氏の小説とおなじく、正直に正面からぶつかったもので、すこぶる読みごたえのあるものだが、正面からぶつかっていられるだけ、部分的には一つぐらい私の考えと違うところがないでもなかったが、これはむしろ当り前で、人間の顔が一人一人ちがうと同じであろう。「今尚探偵小説は芸術小説たり得るという説をしている人があるのに驚く。或る約束に縛られたら、最早芸術ではない。例えば絵画は...”
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尾崎 士郎:坪田譲治の味
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尾崎 士郎
2024-03-03T00:00:00+09:00
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2024-03-03公開 入力:持田和踏, 校正:noriko saito (6k/13k) “私の文壇生活をとおして、交遊関係の、もっとも古いのは坪田君であるかも知れぬ。大正十一年か、十二年か、――数えて、そろそろ四十年になる筈だ。今まで、そんなことを考えてみたこともなかったが、うかうかと時が過ぎてしまったらしい。人生五十という標準年齢を対象的に考えると、私たちはもう人生の外へ一歩踏みだしたかんじでもある。文壇生活四十年なぞというのは、自慢にならぬどころか、自ら、無為、無能、卑怯未練、不才、...”
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岡本 かの子:好い手紙
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岡本 かの子
2024-03-01T00:00:00+09:00
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2024-03-01公開 入力:門田裕志, 校正:いとうおちゃ (4k/9k) “場所、東京、山の手の一隅、造作いやしからねど古りたる三間程の貸家建の茶の間、ささやかなれど掃き浄められて見好げなる庭を前にす。 晴れたる夏の朝、食後卓上の器具とりかたづけられぬ前、卓上には器具の真中に夏花の一輪挿し。室内の壁間ところどころに金縁、或は白木の手製らしき額縁にはめられたる油画。ある一二ヶ所にヴァイオリン一二挺掛けてある。 男二十四五、武骨なれども垢抜けたる風貌、洗いたての白地単衣、煙草を...”
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ヘーマサトン スミット/チャナオン カセー:イサーンの医者 農村医療と開発にかけたドクター・...
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ヘーマサトン スミット/チャナオン カセー
2024-03-01T00:00:00+09:00
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2024-03-01公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:野中 耕一/坂田 久美子 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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岡本 綺堂:怪奇一夕話
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岡本 綺堂
2024-03-01T00:00:00+09:00
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2024-03-01公開 入力:江村秀之, 校正:山田順子 (10k/22k) “春の雑誌に何か怪奇趣味の随筆めいたものを書けと命ぜられた。これは難題であると私は思った。 昔も今も新年は陽気なものである。お屠蘇の一杯も飲めば、大抵の弱虫も気が強くなって、さあ矢でも鉄砲でも幽霊でも化物でも何でも来いということになる。怖い物見たさが人間の本能であると云っても、屠蘇気分と新年気分とに圧倒されて、その本能も当分屏息の体である。その時、ミステリアスが何うの、グロテスクが何うのと云ったところ...”
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ワインバウム スタンリー・G:潮汐衛星 衛星シリーズその4(ガニメデ)
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ワインバウム スタンリー・G
2024-02-28T00:00:00+09:00
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2024-02-28公開 入力:奥増夫, 翻訳:奥 増夫 (17k/42k) “ ガニメデ 乗合自動車の中は暖房されているけど、アマーストがぶるっと身震いしながら、にこっと笑ったのはハイドロポール街の凍てつく尖塔が目に入ったからにほかならない。 極都市ハイドロポールに戻ってくるのは、いつもうれしいし、たとえ唯一の楽しみが高層ビル群を眺めるだけであっても、はるか8億※先、太陽方向に浮かぶ灰色惑星、つまり地球の故郷シラキュースのようだもの。 木星第3衛星ガニメデの南極都市ハイドロ...”
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アリ サバハッティン:毛皮のコートのマドンナ
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アリ サバハッティン
2024-02-25T00:00:00+09:00
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2024-02-25公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:間嶋 幸恵 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール/グリム ヴィルヘルム・カール:みつばちの 女王
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グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール/グリム ヴィルヘルム・カール
2024-02-24T00:00:00+09:00
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2024-02-24公開 入力:sogo, 校正:木下聡, 翻訳:矢崎 源九郎 (4k/13k) “むかし むかしのことです。ふたりの王子が、ぼうけんのたびに でかけました。 ところが、王子たちは、すきかってなくらしを はじめてしまって、家へかえろうとはしませんでした。 そこで、おばかさん という名前の、いちばん下のおとうとが、兄さんたちをさがしにでかけました。おばかさんは、やっとのことで 兄さんたちをみつけました。 ところが、兄さんたちは、おとうとをばかにして、 「おまえみたいなまぬけが、世の中...”
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グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール/グリム ヴィルヘルム・カール:麦の ほ
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グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール/グリム ヴィルヘルム・カール
2024-02-23T00:00:00+09:00
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2024-02-23公開 入力:sogo, 校正:木下聡, 翻訳:矢崎 源九郎 (2k/6k) “むかし むかし、神さまが、まだ じぶんで、この世の中を、あるきまわっていらっしゃったころの おはなしです。 そのころは、こくもつが、今よりも ずっとずっと よく みのりました。麦のほも、五十や六十 ばかりではありません。四百も五百も ついていました。なにしろ、くきには、麦のつぶが、上から下まで びっしり ついていたのです。くきが ながければながいほど、それだけ、麦のほも ながかったのです。 ところが...”
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ラーマン シャムシュル/マームド アル/グン ニルモレンドゥ:バングラデシュ詩選集
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ラーマン シャムシュル/マームド アル/グン ニルモレンドゥ
2024-02-21T00:00:00+09:00
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2024-02-21公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:丹羽 京子 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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坂口 安吾:迎合せざる人 尾崎士郎の文学
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坂口 安吾
2024-02-19T00:00:00+09:00
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2024-02-19公開 入力:持田和踏, 校正:ばっちゃん (4k/8k) “日支事変以後、言論の圧迫が加わって、多くの作家が処世的に迎合し便乗的作品を書きはじめた時に、尾崎士郎はむしろ迎合しない側の作家であった。 その彼が、太平洋戦争以後に、軍国主義文学の親玉の観を呈したに就ては、次のような理由があった。 一九四一年十月ごろ青年作家何十名かに徴用令のあったとき、その中に加わった数名の知人を私は慰め見送ったが、その中で誰よりも打ちひしがれ、顔色すら蒼ざめて戦争を呪っていたのは...”
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岡本 かの子:美少年
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岡本 かの子
2024-02-18T00:00:00+09:00
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2024-02-18公開 入力:門田裕志, 校正:持田和踏 (15k/39k) “「とく子、お地蔵さまの縁日へ連れてってやろう。早く支度をしな」 美少年が古い乾き切った物干台の上で手を振った。わたしはその声を心待ちに待っていたのではあるが、そう思い取られるのも口惜しいから病室の窓から鼻から上を顔半分のぞかしたまま、ちょっと首をかしげてみせた。なんだかよく聴き取れなかったというしぐさ。すると美少年は案の定、わたしの懸念していた例の暴言癖を出した。 「なんだ、聴えてるくせに、愚図々々...”
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岡本 かの子:さくらんぼ
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岡本 かの子
2024-02-18T00:00:00+09:00
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2024-02-18公開 入力:門田裕志, 校正:いとうおちゃ (4k/9k) “さくらんぼうは彼女の唇を熱がるが、彼女の唇はさくらんぼうに涼もうとする。 さくらんぼうを三粒ほど束ねて女は男の頬を叩いた。その時男の決心がついた。彼女がそれを思い出している時小さいみか子が金魚にたべさせようとしてさくらんぼうを玻璃鉢のなかへ一粒いれてやった。金魚はそれを口で突つくが喰べられない。みか子はもどかしがり鉢の側で「ああん、とお口を開いて開いて」と教えている。彼女はそれを見ていて何故か涙ぐん...”
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坂口 安吾:歴史探偵方法論
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坂口 安吾
2024-02-17T00:00:00+09:00
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2024-02-17公開 入力:持田和踏, 校正:ばっちゃん (8k/19k) “私は歴史については小学校一年生でちかごろ志を立てて読みだしたばかりだから多くのことは知らない。 けれども、一年生ながらもお歴々の大先生方の手前をはばからず言わなければならない一ツのことがあると思うようになった。それは歴史というものはタンテイの作業と同じものだということである。ところが歴史学者はタンテイ作業が劣等生で、その方法に於て筋が立たず、チンプンカンプンで、犯人を牢屋へ閉じこめるわけではないから...”
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山本 周五郎:粗忽評判記
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山本 周五郎
2024-02-14T00:00:00+09:00
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2024-02-14公開 入力:特定非営利活動法人はるかぜ, 校正:noriko saito (15k/38k) “一 苅田久之進は粗忽者という評判である。粗忽者といってもどの程度に粗忽なのかはよく分らない、いちどそういう評判をとってしまうとつまらぬ失策まで真らしく喧伝されるもので、ときには他人の分まで背負わされることも珍しくはない。これはつまり何々の粗忽があったという事実が元ではなくて、むしろその人柄によるものであろう。普通の人間がしたことならかくべつ面白くも可笑くもないのに、彼のしたことだとなると急に精彩を放...”
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リョウワーリン ウィン/デーンアラン・セーントーン /ソンソムパン カノックポン/ユン プラ...
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リョウワーリン ウィン/デーンアラン・セーントーン /ソンソムパン カノックポン/ユン プラープダー/ヘーマムーン ウティット
2024-02-13T00:00:00+09:00
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2024-02-13公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:宇戸 清治 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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平野 零児:芸術は短く貧乏は長し
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平野 零児
2024-02-12T00:00:00+09:00
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2024-02-12公開 入力:坂本真一, 校正:持田和踏 (5k/10k) “「池谷、佐々木(味津三)、直木など、親しい連中が相次いで死んだ。身辺うたた荒涼たる思いである。 「直木を記念するために、社で直木賞金というようなものを制定し、大衆文芸の新進作家に贈ろうかと思っている」 故菊池寛は、直木の死んだ直後『文芸春秋』四月号(昭和九年)中の「話の屑籠」にこうした思いつきを発表した。 爾来早や、二十五年を経た今日、その制定によって、毎年新進大衆文芸作家を世に送り出し、すでにこと...”
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伊藤 野枝:岩野清子氏の『双棲と寡居』について
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伊藤 野枝
2024-02-11T00:00:00+09:00
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2024-02-11公開 入力:酒井裕二, 校正:持田和踏 (8k/18k) “私は中央公論十月号に掲載された『双棲と寡居』を読んで黙つてはゐられないやうな気がした。 私がそれを最初に読んだときは可なり無理な理屈があると云ふことに気がついたに過ぎなかつた。そうして再読三読して見て私はそれがどうしても無理おしつけの後からつけた理屈でうづめられてゐることを見逃すことは出来なかつた。尤も清子氏について全く未知ではない私は氏がどんな些細な行動にも何かしら後からきつと何とか理屈をつけずに...”
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折口 信夫:花幾年
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折口 信夫
2024-02-11T00:00:00+09:00
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2024-02-11公開 入力:深白, 校正:持田和踏 (4k/11k) “東京の春があらかた過ぎてから、ことしの花はどうだったかと思い出した年があった。自分だけかと思って、恥しいことだとひとりで赭くなって、誰にも言わなかった。五月近くなってから、「ことしの花は、どうだったけなあ」一人言い二人言い、言い出す人が、ちょいちょいあって、不覚人は、私ひとりでもなかったことを知った。併し痛切に感じたのは、やはり私位のものだろう。 その前年も、その亦前年の十八年の春も、花見る為に、わ...”
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伊藤 野枝:平塚明子論
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伊藤 野枝
2024-02-10T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-02-10公開 入力:酒井裕二, 校正:笹平健一 (16k/38k) “最近の我国婦人解放運動の第一人者として常に注目されつゝあるらいてう平塚明氏に就いて、これ迄公にされたものは可なり多い、或は氏の事業に就いて、或はその私生活について思想について人となりについて。併しながら其の数多いものがどの程度まで氏を知るよすがとなる事が出来たかと云ふに、それは、多くがその表はれた一面の事実によつたり、或はいゝ加減な揣摩臆測によるもの、或は単なる反感から書かれたものが大部分である、そ...”
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伊藤 野枝:らいてう氏に
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伊藤 野枝
2024-02-10T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-02-10公開 入力:酒井裕二, 校正:笹平健一 (5k/10k) “らいてうさま、 お体の工合はどんなですか、私は一週間目から産褥をはなれて居ります、この辺は御大典奉祝の「ドンタク」で大変です、東京もさぞ大変でせう。 漸く帰京が出来るやうになりました。けれども子供の事では随分迷ひました。けれども結局矢張り同じ他手をかりるにしても自分の近くでないとどうしても安神が出来さうにもありませんので連れてかへることにしました。「里子にやるとにくむやうになるから、それではどちらの...”
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岡本 一平:坊つちやん「遺蹟めぐり」
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岡本 一平
2024-02-09T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-02-09公開 入力:浦山敦子, 校正:noriko saito (14k/30k) “〈上〉 一 予は今備後の鞆の津より松山へ渡る汽船の甲板の上で意気込んで居る。何の意気込だ。夏目先生の『坊つちやん』の遺蹟を探らうとしての意気込みだ。 『坊つちやん』はたして実在の人だつたか? この小説はどこまで構想に事実の拠り処があるのか? 誰しも読者として小説に魅了せられた程の人はその小説並に著者を愛する心持ちの延長として遂にこの探求まで突進む事は自然の道理である。 いはんや予は『坊つちやん』絵物...”
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福永 信:鴨川
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福永 信
2024-02-06T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-02-06公開 入力:円城塔, 校正:Juki (4k/8k) “丸一日続いた沈黙が破れた。「見えます。ああ見えた。見えてきましたよ」と言った。「冷たい。水だな、これは」と言った。言ったのは超能力者である。日本語だったことに皆驚いた。「流れています」と流暢な日本語で続けた。驚きは声にはならなかったが、次に、ははあ川かと誰かが口走って慌てて別の誰かにふさがれた。近くで、あるいは遠巻きに全部で十一、二名ほどの人々が取り囲んでいた。昨日、「何が見えるんですか。坊やは無事...”
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円城 塔:蜻蛉日誌
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円城 塔
2024-02-06T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-02-06公開 入力:円城塔, 校正:Juki (3k/6k) “鴨川の石をすべてひっくり返してやろうという願をかけたのは、その誕生日のことであったという。 七本の蝋燭の立つ牡丹餅を前に宣言した。 親は止めた。 兄も止めた。 まだこの世に気配さえない弟だけが、その願掛けを喜んだ。その願いとは、弟が欲しいというものであったからである。いまだ道理をわきまえぬ未存在のものであるから、ただただ無邪気に自らが兄に望まれたことを祝った。 川の石を全てひっくり返すことができなか...”
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澤西 祐典:鴨川アンダーグラウンド
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澤西 祐典
2024-02-06T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-02-06公開 入力:円城塔, 校正:Juki (5k/10k) “街や鴨川のほとりで、道ゆく人々の胸元やカバンをよく御覧なさい。そこに鴨のピンバッジがついていれば、彼らは秘密結社の一員かもしれない。 人目を忍ぶように暗がりに身を寄せ、眼光鋭く辺りに一瞥をめぐらす者など特に怪しい。その人物を注意深く追跡し、それからあなたに多分に運があれば、彼(あるいは彼女)が、河原のベンチ裏やカッフェーに仕組まれた隠し扉にさっと姿をくらませ、鴨川の底にひろがる雄大な地下世界へと旅立...”
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チェニイ :喜びの木陰 チェニィ短編集
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チェニイ
2024-02-04T00:00:00+09:00
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2024-02-04公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:河東田 静雄 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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アイプ・ロシディ :ヌキのいない旅
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アイプ・ロシディ
2024-01-31T00:00:00+09:00
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2024-01-31公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:粕谷 俊樹 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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ワインバウム スタンリー・G:贖罪の墓標 衛星シリーズその3(エウロパ)
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ワインバウム スタンリー・G
2024-01-28T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-01-28公開 入力:奥増夫, 翻訳:奥 増夫 (28k/73k) “ エウロパ いままで、無一文、ひどい空腹、落胆、疎外、無視までされたことがあるか。ふりかえると2、3か月前、言葉にするのも難しいが、思えばどん底はヘンショウ船長が部屋に押しかけた夕まぐれ――部屋はと言えば、とうとう24時間猶予で明け渡すか、家賃を払うかだ。 そこに座ってるのが俺ジャック・サンド、元ロケット操縦士。ああ、お察しのジャック・サンド、あのガンダーソン・エウロパ探検隊を墜落させた張本人、2...”
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坂口 安吾:誠実な実験者・マ元帥
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坂口 安吾
2024-01-26T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-01-26公開 入力:持田和踏, 校正:ばっちゃん (2k/4k) “敗戦国の手足を苛酷にもぎとれば再び戦争へ駆りたてる条件をつくるようなものである。手足をもがれたままでは暮せないからだ。歴史はこの課題を解決したことがない。 マッカーサー元帥は、自分に託された敗戦国日本にこの課題の歴史的な解決をなしとげたいという責務と情熱に燃えて日本へ乗りこんできたように見うけられますね。敵意や偏見は見られない。建設の意欲、情熱、義務感。創作の、といってもよい。武人の理想はかくあるべ...”
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中野 鈴子:人々は持つだろう
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中野 鈴子
2024-01-24T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-01-24公開 入力:津村田悟, 校正:かな とよみ (1k/3k) “人々は持つだろう あたたかい夕餉を持つだろう 静かな憩いを持つだろう 共感にほほ笑み 善意なるものに満ちていよう 無限なるものに包まれ 美しい手紙を秘めていよう すべてやさしくつよかろう 彼等の敷き布は白かろう 夜は深く ねむりはあまくまるかろう 底本:「中野鈴子全詩集」フェニックス出版 1980(昭和55)年4月30日初版発行 底本の親本:「中野鈴子全著作集 第一巻」ゆきのした文学会 1964(...”
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坂口 安吾:スタンダアルの文体
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坂口 安吾
2024-01-23T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-01-23公開 入力:持田和踏, 校正:noriko saito (3k/5k) “私はスタンダアルが好きであるが、特に私に興味のあるのは、彼の文体の方である。 凡そ人間の性格を眼中に入れなかった作家といえば、スタンダアルほどその甚しいものはない。人間を性格的に把握しようとすることが彼の作品に皆無である。 然し彼には人を性格的に把握する能力が欠けていたわけではない。欠けているどころか人並以上に眼光が鋭く性格把握の能力が勝れているのは「バイロン論」を読めば分る。バイロン論と言ったって...”
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伊藤 野枝:『青鞜』を引き継ぐに就いて
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伊藤 野枝
2024-01-21T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-01-21公開 入力:酒井裕二, 校正:笹平健一 (11k/26k) “新しきものゝ動き初めたときに旧いものから加へらるゝ圧迫は大抵同じ形式をもつて何時もおしよせて来るやうに思はれます。 青鞜が創刊当時から今日迄加へられて来ましたあらゆる方面に於ける圧迫がこの種のものであることは今更云ふ迄もない事ですが更に私たちの主張が従来の歴史的事実からあまりに離れてゐたと云ふ事が――それは勿論人々から圧迫を受けたり反抗されたりするも重なる原因ですが――予想以上に人々を驚かし惑はし不...”
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伊藤 野枝:男性に対する主張と要求
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伊藤 野枝
2024-01-21T00:00:00+09:00
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2024-01-21公開 入力:酒井裕二, 校正:持田和踏 (7k/16k) “未来の予想と云ふやうな事は余程確実な根底をもつてゐなければ出来ないことで、また外れ易いものだと思ひます。 今までの経過を考へて、また現在の状態を観て、さて此度は必ず斯くあるべき筈だ。と思へば、本当にさうなるより他には行く道がないやうに考へられる事なのに、割合に、その予想はあてにならないもので、もつと意外な方に道を開いて来る事が多いやうに思はれます。今後の婦人問題、と云ふやうな事も矢張りさうした予想の...”
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ポー エドガー・アラン:アッシャア家の覆滅
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ポー エドガー・アラン
2024-01-19T00:00:00+09:00
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2024-01-19公開 入力:砂場清隆, 校正:岡村和彦, 翻訳:谷崎 潤一郎 (5k/11k) “その年の秋の、重々しい雲が空に低く垂れ懸った、ものうい、暗い、ひそりとした日のことである。私は終日、たった独り馬に跨って怪しく荒れ果てた田舎路を通って行った。そうして日脚が傾いた時分に、ようよう陰鬱なアッシャアの邸が見える所まで辿り着いた。私には其れがどう云う訳だか分らない―――が、その建物を一と目見るや否や、或る堪え難い悲しい気持ちが、私の胸に泌み徹って行った。私は特に堪え難いと云う。なぜかと云う...”
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マントー サアーダット・ハサン:黒いシャルワール マントー短編集
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マントー サアーダット・ハサン
2024-01-18T00:00:00+09:00
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2024-01-18公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:片岡 弘次/鈴木 斌 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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牧 逸馬:「世界怪奇実話」序文
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牧 逸馬
2024-01-17T00:00:00+09:00
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2024-01-17公開 入力:A子, 校正:大野晋 (2k/4k) “一、僕の「世界怪奇実話全集」である。読物として、文句なしに面白いものでありたい。これが僕の念願だ。一、世界怪奇実話――怪奇は、謂わば荒唐だ。同時に実話は、文字通り厳正に事実だ。荒唐さと事実と、その表面背馳する二つの概念が混然一致するところに「世界怪奇全集」のイットが潜む。一、僕は過般欧米を漫遊中、この実話に「事実は小説よりも奇」なる興味と、血の通っている把握力を感じて、凡ゆる種類の材料を蒐めて来た。...”
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ナーズム・ヒクメット :タランタ・バブへの手紙 ナーズム・ヒクメット詩選
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ナーズム・ヒクメット
2024-01-15T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-01-15公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:石井 啓一郎 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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吉田 甲子太郎:美しき元旦
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吉田 甲子太郎
2024-01-08T00:00:00+09:00
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2024-01-08公開 入力:kompass, 校正:noriko saito (8k/33k) “一 「そういうわけで、来年のお正月の拝賀式は、この再建日本のかくごをかためるためにも、別しておごそかにとりおこなわなければなりません。」 先生のわかわかしい顔が赤くもえたってきたのは、教室のすみでまっ赤にやけているストーブのせいばかりではなかった。 六十二人の少年のしんけんな目が、先生の熱情にいっせいにこたえて、教壇の上の顔を見つめている。 うす日のさす窓の外を、十二月のからっ風がヒューッとふいてい...”
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岡本 かの子:紫式部の美的情緒と浄土教
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岡本 かの子
2024-01-07T00:00:00+09:00
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2024-01-07公開 入力:門田裕志, 校正:戸鴉 (2k/5k) “紫式部が晩年阿弥陀仏の信仰に依り安心立命を得て愈々修道に心掛けた様子は式部が、日記の終りに近い条で自ら告白して居るから疑いはない。しかし、私は源氏物語や家集の和歌を読んで、それ等に含まれている式部の美的情緒の一般にも浄土教的思想の影響が可なり在るように思えるからそれに就いて述べてみ度い。 当時の仏教は霊験仏法や儀礼仏法が盛んであったが、然し心の底から生死の問題に就て解脱を求める人も尠くなかった。そう...”
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オム ソンバット:地獄の一三六六日 ポル・ポト政権下での真実
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オム ソンバット
2024-01-07T00:00:00+09:00
新規公開作品
2024-01-07公開 入力:公益財団法人大同生命国際文化基金, 翻訳:岡田 知子 青空文庫のサーバ上にはこの作品の xhtml ファイルがありません。
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蘭 郁二郎:秘境の日輪旗
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蘭 郁二郎
2024-01-05T00:00:00+09:00
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2024-01-05公開 入力:門田裕志, 校正:mt.battie (80k/233k) “兄のたより 明け方から降りだした雪が、お正午近くになっても、まだ、止まなかった。 灰色の空から、綿をちぎったような雪が、ヒラヒラと舞い落ちては、音もなく積って行く――。今朝、家を出る時には、それほど積っていなかったが、もう、十二、三センチは、たしかにあるらしい。 英夫は、「雪の進軍」の口笛を吹きながら歩いていた。 雪の進軍氷をふんで どこが河やら道さえ知れず 馬は斃れる捨ててもおけず ………… 近...”
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中野 鈴子:友よ 友だちよ
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中野 鈴子
2024-01-05T00:00:00+09:00
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2024-01-05公開 入力:津村田悟, 校正:かな とよみ (1k/3k) “わたしは 三度目の開腹手術を受けるために 行ってきます 友よ 手術をしなければならぬということは 命があるということです いろいろの 心のキズを耐え 力あつめて立ちつづけてきた 体に三度目のメスを受けねばならぬ 黄色い目じりから泪がにじんで流れようとする 友よ 手術をしなければならぬということは 命があるということです 命がなければ 誰の顔も見えなくなるではないか 誰も わたしをもう見ることができな...”
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グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール/グリム ヴィルヘルム・カール:三まいの 鳥のはね
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グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール/グリム ヴィルヘルム・カール
2024-01-04T00:00:00+09:00
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2024-01-04公開 入力:sogo, 校正:木下聡, 翻訳:矢崎 源九郎 (4k/18k) “むかし むかし、ひとりの王さまがいました。王さまには、三人の王子がありました。 ふたりの王子はりこうで、気がきいていました。ところが、三ばんめの王子は、ろくに口もきかない ぼんやりでした。それで、みんなから、おばかさん、とよばれていました。 王さまは、年をとって 体もよわってきました。これでは、いつ 死ぬかもしれません。 (わしの死んだあと、どの王子に、国をつがせたらよいのかな。) と、かんがえてみ...”
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坂口 安吾:真説 石川五右衛門『後編』に期待す
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坂口 安吾
2024-01-02T00:00:00+09:00
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2024-01-02公開 入力:持田和踏, 校正:ばっちゃん (2k/5k) “檀君が五右衛門を書くために、はじめて大阪へたつという晩、私たちは銀座で酔っ払った。石川淳もいたようだ。新大阪の記者が檀君につきそっていたね。彼が汽車に乗りおくれないように監視するためであった。 酔っ払う檀君と、それを監視しつつある記者君との滑稽な悪関係は、五右衛門が完結するまでひきつづいて行われる運命のようである。 しかし檀君の監視者は新大阪の記者君だけではないのである。彼は年中誰かに監視されている...”
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■そらもよう:カノンを攪乱するために――青空文庫に本を持ち寄ること■
http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000533
青空文庫
2024-01-01T00:00:00+09:00
そらもよう
2024-01-01 新年あけましておめでとうございます。「ハッピー・パブリック・ドメイン・デイ!」と言いづらくなって早5年、巷では青空文庫の活動が終了したかのように誤解している方もいらっしゃるようですが、もちろんみなさまのおかげで元気に続いております。この1年は、20年にわたる保護延長期間を乗り越えようと、これからの継続的運営を視野に入れた上で、デジタルアーカイヴとしての安定化を目指し、新規データベースサーバの開発・導...